全脳自由帳

より考えるために書く

木製の王子(麻耶雄嵩)

木製の王子 (講談社文庫)

木製の王子 (講談社文庫)

2000年の作品。如月烏有や木更津悠也が登場するシリーズ。

比叡山の麓に隠棲する白樫家で殺人事件が起きた。被害者は一族の若嫁・晃佳。犯人は生首をピアノの上に飾り、一族の証である指環を持ち去っていた。京都の出版社に勤める如月烏有の同僚・安城則定が所持する同じデザインの指輪との関係は? 容疑者全員に分単位の緻密なアリバイが存在する傑作ミステリー。

分単位のアリバイ、どう崩すか? 興味はまずそこに行くのだが、その後に何とも奇妙な、バカバカしい真相が待っている。麻耶作品ならそれもありだと思えるのではあるが。

最後の最後に、なぜかミステリー小説によく登場する「あるもの(というか、属性)」が出てきて、「またか」と思わされた。好みの問題ではあるが、他に何かなかったのかという気持ちは残る。